【詩】無題31~35

 31
歩いてきた道を振り返ると/急に寂しくなった/昔の思い出は/決して僕を温めてはくれず/道は/ただ歩いてきた歩数だけを/素っ気ないアラビア数字で示した/お前が選んだ道だろうと言われても/選んだ覚えはないと答えるだけで精一杯だった



 32
自分の間違いに/ふと気づいたときにだけ私は世界と握手が出来る/そう片意地を張らなくてもいいと世界はいう/でもね/片意地を張っていないと/この世では生きていけないんだよと私が漏らすと/世界は何も言わず私を抱きしめた/そんな君が好きだよと世界は言ってたな



 33
壊れた子どもが/壊れた家に棲んでいます/晴れた日は猫がやって来て/壊れた縁側に二人/太陽が壊れるまで過ごします/そして夜は二人で死んだように眠りますが/あるいは/子どもはすでに老人かもしれませんし/猫はミイラかもしれません/なにしろ/時間まで壊れてしまったのですから


 34
大抵の場合/私の店は閉まっています/一番の理由は/まず売る商品が無いということなのですが/たとえ商品があったところで/誰も買ってはくれません/たった一円の商品であっても/買う人がなければゴミと同じなのです/だから私は/時間を売ることにしました/一時間あたり645円で


 35
奴隷とは/まず/自由を奪われた存在であり/同じ人間とはみなされず/生きる権利さえ保証されない/家畜同然の存在であり/奴隷とは/飼い主の必要を充たす目的のためにだけ/生きることを赦された存在であり/必要がなくなれば/容赦なく処分される/人気ない/暗い場所まで歩かされて

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Author:euReka(エウレカ)
euRekaと申します。小説や詩を書いています。

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