2011/05/30
【詩】夢のように酔いしれた、現実からの
私がアウシュビッツにいた頃世界は重力に耐えることをやめました
人種とか憎悪とか そんなものはすでに問題ではなく
いかにすれば効率的に 大量に人を殺せるかという
実験材料としての価値の中で
私たちは言わばモルモット以下の
数字の中で表されるための存在として生かされた
絶望の絶対値を見つけるための試みでした
私がアウシュビッツにいた頃
鳥は相変わらず空を飛び
雪は世界を白く染めました
私たちはひたすら 出口を探していたのだと思います
このいつまでも醒めない
夢のように酔いしれた 現実からの