【小話】すてきな三毛猫

すてきな三毛猫が死んだ鼠をくれたのですが

僕は鼠を食べませんので土に埋めてやりました

すてきな三毛猫はそれを見て 今度は右足のサンダルをくわえてきました

僕はありがとうと言ってサンダルを受け取りましたが

なにしろ片足だけのサンダルを履くわけにもいきませんので 僕はかび臭い下駄箱の中にそのサンダルを放り込みました

するとすてきな三毛猫はそれから

三日ばかり姿を見せなかったのですが

春の縁側で僕が爪を切っていると すてきな三毛猫は猫らしくふらりと現れ 今度はきれいな女の人を連れて来ました

しかし話をきくとその女の人は すでに結婚していて子供がいるということだったので

僕は ため息をついたのですが

女の人は真面目な顔をしながら いま旦那と別れる手続きをしているという話を始めるし

僕はどうしたものかと思い

すてきな三毛猫に意見をきこうとしたのですが

猫は多分にゃあとしか言いませんし

まるで何事もなかったように 縁側で丸くなっていましたので

僕はコーヒーカップのようにじっと 女の人の話を真面目にきいていました

爪のほうはまた 明日切ることにします

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【小話】それだけ

 小さい小さい人が私にたずねました。

「お腹すいてないの」と。

 すいてると言えばすいてるし、すいてないと言えばすいてません。

 小さい小さい人は、小さい小さい鞄から何かを取り出すと私に差し出しました。

「これあげる」

 小さい小さい人の手のひらに乗っていたのは、どうやらパンのようでした。見ようとすると、目が痛くなってしまうほど小さな。

「うまいよ」

 私はそれを指先でつまんで口の中へいれました。しばらくするとそれがパンだということが味覚でもわかりました。

「パンでしょ?」

 たしかにパンです。

「それだけ」

 それだけ?

 小さい小さい人は満足そうな顔をしながら、小さな小さな足取りで去って行きました。

 私は次の週末、たこ焼きパーティーをしたいと思っているのですが、

 小さい小さい人が、また来てくれるといいなと思いました。

プロフィール

Author:euReka(エウレカ)
euRekaと申します。小説や詩を書いています。

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